130626博多レジェンド公演レポ。


 秩序だったしきたりだけが支配する世界から逃れたいと思う時があなたもきっとやってくる。

「最高だ」

 公演を見終わった者が次々と口にする言葉。何が最高かはご自身の目で確かめていただきたい。として本エントリーを終えるのも一つだが、せっかく初めて劇場で目にした公演、少しばかり文章として残しておきたいと思い、帰りの機上にてキーボードを叩いている。


  • 乖離

 最初に感じたのは、劇場とファンとメンバーの乖離だ。今日の公演メンバーが特にそうさせたのかもしれないが、ファン層が明らかにSKE48劇場で感じるものとは違った。これをどうやってメンバーはまとめていくのだろう。公演での最大の関心事。結論から言うと「HKT48」「君のことが好きやけん」「初恋バタフライ」の3曲を持ってしても満足できるエネルギーは集まっていなかった。当然にファンの声も出ていたしメンバーも笑顔だったが、その方向、角度が狭い。これがHKT48の難しいところなのだと感じさせられた。自己紹介MCは頑張っている感が伝わってくるも、その方向性は自分のファン向けという要素が強く、こちらから聴こうという姿勢が求められた。それでも「思い出せる君たちへ」でのベストMCに輝いた(確か)チームH、個人的には何ら不満はない。今日のお題は「やってみたいユニット曲」というものだったので笑いよりも純粋な関心が先行する。小さく「おぉ」という声が漏れるぐらい現実的になった、というプラスの見方をすることにしよう。

  • 集結

 彼女たちの本気を見れるのはやはりユニット曲からか。「ガラスのI LOVE YOU」からはじまるユニットはどれも各公演選りすぐりのもの。見応えある、ファンなら誰でも知っているべき曲達だからこそ、ファンの脳裏には一定の「きまり」があるはず。それをHKT色に染めていく。お下がり公演とも違う難しい作業が求められたことだろう。ユニットごとに存分にメンバー各自の笑顔を引き出せていたと思う。「制服レジスタンス」と「天国野郎」が目を引く。反抗的な表情や自由を求める体の動きを制服レジスタンスでは表現できていたし、いま個人的大注目の岡田栞奈さんが出演していた事を除いても天国野郎の雑多感はHKTならではでいい曲選だなと感じた。

  • 英知

 全体曲に戻ってももう元の乖離感は感じられない。この曲を聴きに来たと自信を持って言える「Two years later」〜「回遊魚のキャパシティ」の引き締められる感じ、選んだ指原さんに拍手を贈りたい。この2曲があるお陰で前の「遠距離ポスター」とかいう神曲の印象が薄くなってしまうぐらい。心から「博多に足を運んで良かった」と思える時間があるというのは、九州という三大都市圏から離れた場所を拠点とするグループや劇場には必須事項と言える。求められる満足度のレベルは秋葉原とは違うという環境(プレッシャー)が彼女達の成長に資することができるか、運営の腕の見せ所でもある。

  • 解放

 アンコール後も見逃せないのがオリジナル2曲の良さ。そして何より白いシャツでユニットごとに登場する時間は、ここまでの遠征への気苦労や仕事や学校の調整、金銭的な負担が一気に吹き飛び、いよいよ博多に通おうと決意する瞬間になる。楽しかった公演を数十秒にて振り返って、思い出としてリピートして明日から生活しようと自発的に思える。秋葉原でも栄でも難波でも見つけられなかった第四極をついに発見してしまった事への喜びに満たされながら、ステージを去るメンバーへ手を振る。




 こうして初の博多遠征はまたこの地に足を踏み入れるという誓いの言葉を書き残して終わったのだった。遠征後にこうして機上で振り返る事のできる距離感素晴らしい。最後は褒めちぎってしまったが、実際に心の変動をそのまま文章にできたと自負している。


 同じシップで東京に向かっている指原さんに「お疲れさま」と心の中で声をかけながら、飛行機を降りることとしよう。